月別アーカイブ: 2017年3月

新必殺技(限定)

桜の咲き始めから花冷えがはじまったようだ。それでも、咲き始めた花の数は、毎日増えていく。おだやかな天気だけど風は冷たい。

今日は、顔をみるなり、なんとなくやる気満々のイメージが伝わって来た。車椅子に乗りたいような顔をしているから「車椅子乗るの?」と訊いてみた。そうしたら、なんと、はっきりと頷いた。

ウン、、、じゃなくて、ウ〜ンッというイメージのスピードで、確実に、はっきりと「頷いた」のだ。これはびっくり。この動きは、始めての動きなのです。

今までも、ブログ上では「頷いた」と書くことは多くあったけど、かつての「頷き」は、アゴを上にむかって、ひょいとかすかに動かす動きで、首の後側の肩のあたりの筋肉を収縮させる動きで生まれる運動のことを指していた。ところが「今日の頷き」は、そのまったく逆。ぼくらの一般的な頷きの形で、アゴを引いて頭を前に少し倒すようなイメージの運動だった。 続きを読む

Happy


病院の東側に、桜の木がある。この桜が病院まわりでは一番早く咲く。この場所は、病院の東側の壁と、隣の敷地との塀の間で、風がこない場所だ。温度が保ちやすい場所なのかもしれない。花は下のほうから咲いている。上の枝は風に影響されるのだろう。

ぼくらは、この狭いスペースで、しばらく花見をした。こうやって、花見ができる、ちょっとしたHappyを楽しんでいた。そのあと公園で、まったり日向ぼっこHappyをしていたけど、日が陰り、風が出てきたからデイルームへと移動した。

デイルームでは、何人かの入院患者さんたちがおやつを食べていた。
あとからいらした一人のおばあちゃんが、歌を歌いはじめた。

「しーあわっせはぁー、歩いて来ない、だーから、歩いて行きました! おわり。」

イェー、ファンキーな表現だ。メロディーは 「だーから歩いて」・・・までで終えて、 最後の 「行きました〜!」 は、勢い良く会話調で言い切るというフェイクを入れた歌唱法。 とても、簡潔で、人を気持ち良くさせるパフォーマンスだ!

ぼくは心の中で「いいね!」ボタンを押した。
人は、ほんのちょっとしたことで、Happyになれるもんだなと一人で声を出さずに笑った。
このくらいの、ちょっとしたHappyが、最高だな。

妻は高校野球を見入っている。
ぼくの頭の中では、ファレル・ウィリアムスの「Happy」が流れ始めた。

桜の記憶


ぼくの家の前は桜並木で、毎年綺麗です。家の前の桜は、まだこれからでちょうど蕾が膨らんでピンク色になってきたという段階です。この時期、妻といっしょに桜をみると、2010年の桜のことを思い出します。それは、妻が倒れた年で、妻は桜をみることがなかった年です。

妻は人生50年目にして、桜をみることのない年がやってきた。見せてやりたい。そして来年は一緒に桜をみることができるだろうか?目は見えているのだろうか?耳は聞こえているのだろうか?と、毎日、微動だもしない妻に声がけしながら、華やかな桜並木を歩きながら、なんとも言葉で表現できない気持ちを味わっていた日々。 続きを読む

親友

昨日、優さんが来てくれました。
妻は、倒れてから何人か友達を作りました。倒れてから3年をベッドで過ごしたのち、52歳を過ぎて、守本さんご夫妻とは出会い、奥様の優さんとはあっという間に親友になりました。

ベッドで生活している人たちにとっては、特別な出会いですが、一般的な目からすると、風変わりな友達ばかりです。妻の友人は、ほかには、国学院大学の柴田先生と奥様。だいたい同世代の友達で、みんな音楽好きなこともあり話があいます。

この出会いは、白雪姫プロジェクトのかっこちゃんからのつながりで広がった出会いですが、妻にとっては、まったく不思議な出会いだっただろうと思います。2013年の春、ぼくが会社を辞めたことをきっかけに、動く範囲が仕事以外へとどんどん広がり、そんな中で障害をもつ方々のつながりで知り合っていきました。 続きを読む

カモン!コブシ

昨日、街中を歩いていたら、コブシが満開に咲いている木を見つけた。おいおい、知らないうちに、こんなに満開か?とびっくりした。病院前の公園のコブシはどうだろうか?今日は天気もいい、風はつめたいけど、日差しが暖かいから、外に連れだせそうだ。午前中に、お墓参りと買い物をすませて、そのまま病院へ。14時到着。

ベッドサイドに顔をだすなり「おい、車椅子のるぜ!」と言うとかすかに目で「わかった」と返事をした。あいかわらず、せっかちな人だというような、ちょっと迷惑そうな顔をしていたけど、天気と気温、風の具合の条件がそろっている、気にしている暇はない。日差しの時間は短いのだ。とっとと、ぼくのジャンパーを着せて車椅子にのっけた。 続きを読む

オモテナシ

5日ぶりの病院。
毎日来ていると、あまり歓迎されないけど、このくらい久しぶりだと、けっこう歓迎してくれる。しめしめ。これもいいものだな。今日の歓迎は、特別な技だった。

左の親指を大きく動かすという動きを披露してくれた。これはすごい。しばらく、見とれていた。はっと思い、携帯ムービーを構えたら、そこからはパッタリ出来なくなった。ぼーっとしている間に、力つきてしまった。

息子たちはなかなか来れないから、ムービーにとってこんなこと出来たと見せたくなる。本当は、見せれても、見せられなくても、本質は変わらないから、それでいいんだけどね。カメラにとるより、その事実をじっくり見たほうがいいと思うけど、見せたい気持ちもある。欲張りなのかな。

これが出来るようになったということは、日々、妻は妻の中で努力をしているということだろう。ちゃんと、自主トレをしているのだろうと思う。

いつの頃からか、言葉もわからなくても、それはそれで、成立しているからいいやという気分になっていたんだけど、最近、たまに何かを訴える目をしたり、口をモゴモゴしたりする。何をいいたいんだろうなぁ。やっぱり、こういうときに、一家に一台、もれなく、柴田先生や優さんがいるといいんだけど、そうはいかない。

きんこんの会にもしばらく行けていない。やっぱり言葉がわかるとうれしいだろうな。今度、優さんにきてもらって、もう一度、指筆談ならおう。妻も、日々努力している。がんばろっと。