見えないけれど

今日は、妻の顔をみた瞬間に、あ、調子悪いんだなとわかった。顔色が悪いわけでないけど、顔がパッとしない。このように感じるということは、やはり妻の顔の筋肉は、表情を表すことに成功しているということだ。倒れてすぐの頃には、このようなことは思わなかった。それがわかるようになった。これは大きな変化が、目に見えないスピードで、連続しているということだろう。

だいたい、こういう時は、発熱か低体温だ。布団がたくさんかかっているから、きっと午前中低体温だったのだろう。それで、布団で熱がこもって、発熱というパターンだな。おでこをさわってみると熱い。体温計は37.2度。やっぱりね。でも、このくらいすぐ下がる。

布団をはいで、病院から小さなアイスノンをもらった。横向きにして、背中を触ってみると、もうとっても熱い熱い。熱が、背中と布団の接地面にこもってしまって、あっちちーあっちー、と思った瞬間に、郷ひろみのGOLDFINGER’99のメロディーが頭の中をよぎった。別にすきでもなんでもない曲なのに、ヒット曲ってすごいな。脳のどこかに、このメロディーが格納されていたってわけだ。

いや、また、これは脇道にそれた。妻を横向きにして、アイスノンをタオルに包んで、それから背中にいれて、全体に動かしながら、熱をとっていく。「気持ち良い?」と聞くと、1回ウィンクを返した。左目のまぶたはうまくうごかせないから、この人の瞬きは自動的にウィンクになる。

右向き、左向き、としながら、背中や脇の下の熱をとっていく。それでもグッタリさんだから、今日はまだ端座位はきついだろう。このまま、もう一度横になって、頭にアイスノンをあてて、しばらくお昼寝にしよう。今井美樹の曲でも聴きながら、一眠りってどう?「パチリ」いいね。じゃぁ、そうしよう。先日いただいた、ベスト盤は、iPhoneの中にいれてあるから、それを聴きながら、今はスヤスヤとしている。

顔をみていたら、口がうごいた。あぁ、こんなに、口を動かせるようになったんだなぁ。。。目を閉じた日々を思い出してみると、どこも動かなくて、聞こえているのか?理解できているのか?信じながらも、不安な日々だった。そのくらい、表情はなくて、どこの筋肉も動かなかった。そう思うと、現在のこのちょっとした口のうごき、なぜか知らないけど今、左目から流れた涙、どれをとっても、あぁ、とてもよく回復してきたものだと思う。

今日は、このまましばらく寝てもらって、体温が下がって、それでやる気があれば、端座位ということにしよう。それまでは、ぼくは、ベッドサイドで明後日の授業の仕込みをやることにしよう。

今度の授業は、金子みすゞの「星とたんぽぽ」から始めたいと思っている。ミュージックビジネスなんていう講義をしているのだけど、教えることではなく、学生たちが「考える」ということの場を作りたいと思っている。ぼくらのまわりは、目に見えるもので満ち溢れているけど、そもそも僕らが感じていることは目に見えないことばかりだ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。。。。。そんなことと、ミュージックビジネスについて考えるという日にしようと思う。まったく、ぼくなんかに講師を任せるものだから、こんなことになる。しかし、ぼくはこんなことしかできないから仕方ない。

妻は見えないスピードで変化しつづけている。


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