不敵なおめめ

喋りたい思いがある。ぼくも妻の声を聞きたいと思う。アーでもウーでもいいと思うのだ。しかし、どうも妻はその上を行こうとしているように思えてならない。今日は相変わらず不敵な目つきをしていた。

体をマッサージしながら、足の裏をガリガリした。そうしたら、何故か左手がものすごい動いていた。面白くなって、しばらくガリガリしていたが、あまりにすごい動かし方だったので、妻の左手をもって、妻の目の前に手を掲げて「ほら、見せてあげるよ。すごいんだよ、動き方が。」と言って、左手をみせてあげた。そして、本当にすごいね、すごいって言葉くらいしか出てこないけど、ほかにないんだよ。すごい、すごい。・・・って、声をかけていたら、まるで話をするように<あ><う>というような口の形をいろいろしながら、口を大きくあげようとしていた。これもすごい。

そういえば、昨日の口腔ケアのときも、ものすごく口をちゃんと開けていた。まぁ、ものすごくって言っても、基準がほぼ開かないところから見て、ものすごいという意味だから、普通に考えると、すごくない。・・・でも、すごいのだ。

それから端座位を30分ほどやったが、その導入で久しぶりのキックが出た。キックはこの1ヶ月以上出ていなかったから、久しぶりだった。ここのところ、ベッドの高さが高いセッティングになっていて、バランスボールを足元に置いているけど、足はつま先しか届いていなかった。まぁ、いいやとそのまま端座位をしていたら、軽めのキックが飛び出した。

「あなた今、私の足短いって思ったでしょ?届くわよ」・・・とでも言うようなタイミングで、キックを繰り出した。ぼくは、すごいね。久しぶりだねと、またスゴイしか単語が思いつかなかった。

そういえば、まだひと月間程度だが、毎食中、経管栄養の途中でお薬を入れるのだけど、そこに水溶性ケイ素を毎回2mml入れてもらっている。ケイ素は自分で購入してきたものを病院に渡して、担当医へお願いして使用許可をいただいた。この数字も僕が決めたもので、もう少し多くてもいいのだけど、水溶性ケイ素がけっこう高額だからこのくらいにしておいた(笑)、、しかしどうも、入れ始めてしばらくしてから、いろいろ反応がよくなったような気がしている。

ケイ素は毛細血管まで血液を潤滑に行き渡らせるのに、とてもいいということや、カルシュウムを骨へと定着させるための触媒的な重要な役割を果たすというようなことを聞いたので試してみている。血流がよくなって、毛細血管に血液が行き渡るようになるというのは、いいに決まっている。そもそも、そんなに運動ができないので、血流がうまくいかないところはあるはずだ。そこをケイ素がフォローしてくれるのであれば、これはいいことだと思っている。

こうやって、妻のリハビリをしていると、むかし家族みんなで行ったスシローでのワンシーンをいつも思い出す。妻がぎっくり腰をやって、気功の先生のところにつれていってから、子供たちが住んでいたアパートへつれていった。腰がいたくて、歩くのもへたくそな状態だったので、じゃぁ、みんなでスシローに行って昼をすませようということになった。あの時妻の手をとりながら、ヨチヨチと階段を上るのを支えながら僕は「もー、おまえの介護なんてぜったいやらないからな」と言ったら、妻は「イタタタ・・・」とかいいながら、ケラケラ笑っていた。笑うと腰が痛いのだ。

妻が覚えているかどうかしらないけど、いつも、あの日のスシローを思い出す。きっと6年くらい前のある日のことだ。いつも同じシーンを思い出しながら、その手をとって、ヨチヨチ歩きする日が、今の目標だなと思う。きっとあそこまで、いける日がくるんじゃないか?だから思い出すのかもなぁ・・・などと、のんきに考えている。階段まではむずかしくても、いつの日か、立ち上がることもできそうなくらい、、、最近の妻はそんな目をしている。


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